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トロット

小説を書いています。BL、NL、ファンタジー系が多いです。少しずつアップしていけたらなと思っています。
2024
04,23

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2018
06,28
ユイは裏道を歩く。

 裏には仕事をしている人間が多く、表はそれを楽しみに来ている人間が多い。ユイは、仕事をしているし、表を歩く人間は、ユイのような存在を虫けらのように扱う人間も沢山いるからだ。

 いつものことだが、少し離れたところから怒号が聞こえた。何人もの怒鳴り声と、獲物だろうか。泣き叫ぶ声、肉を打つ音が聞こえる。

 リンチか――? 

 暴力は好きじゃない、というか嫌だ――。裏の世界に慣れたといっても、痛そうな声を聞けばゾワリと背中があわ立つし、殴ったり蹴られたりという音には身が竦む。

 それはユイが女だからだろうか?

 答えは出ないが、近寄らないようにしようと道を曲がる。

「えっ?」

 ドンとなにかにぶつかってユイは立ち止まった。裏道の狭いところから広いところへ合流する辻だった。

 失敗した――。

 離れたつもりが、近寄ってしまったらしい。

 ユイは、自分の運の悪さに頭がクラクラした。

「……ユ、ユイ・サルドル……」

 そこには昼間見たメイヤー先生ことボロ雑巾が、下からユイを見上げていた。その顔は既に青か赤かわからないくらいアザだらけで、昼間の清潔感が服をきているといった印象は全くなかった。服もあちこち破れて、泥と血液にまみれていた。

「メイヤー先生……」

 呆然とユイが呟くと、メイヤーはユイの足にしがみついた。

「わ、私は……」

 何かを言いかけて、無駄だと悟ったのか、大人の顔を脱ぎすてて、ユイにすらすがるような瞳を向けてきた。後ろから追いかけてきた男達は、ユイをみて、一瞬立ち止まった。

「面倒くさい……」

 ユイの呟きが、メイヤーの羞恥心をえぐったのか、立ち上がって逃げようとする。だが、ユイをみて立ち止まった男達も逃がす気はなかったのだろう、メイヤーを引きずり倒した。

 メイヤーは、先程は何事かを叫んでいたはずだが、ユイを見てからはみっともなく泣き叫ぶことはなかった。

 この人、プライド高そうだもんな。

 ユイは、学校でのメイヤーを思い浮かべた。

「ユイ、お前知り合いか――?」

 男の一人がそう聞いてくる。

「学校の先生――」

 教官室でいってあげたのに。夜のグルハ橋は危険だと、教えてあげたのに、無駄だったなと一人で呟く。

「そうか。見なかったことにしとけ。そいつは、うちの男娼を二人つぶしたんだ。一人目のときに、注意したんだぜ。薬を勝手に持ち込むなと」

 男の目が剣呑に光る。そういえば、この男は男の娼館の支配人だったっけと、思い出す。

 ユイは、迷った。正直好きな先生というわけではないし、薬で潰したということは、下手したら相手は死んでいる。そんな人間を助けることが、果たしてユイにとっていいことになるのかと、計算する。

 迷いながら、声を出そうとした瞬間に、不釣合いに暢気な声がユイを捕らえた。

「ユーイ。こんなところで何してるんだ?」

 ここにいる男達の中で一番背が高く、顔が良く、良い物を着ていて、危険な男。それが、声を掛けてきたオスカー・クラウス・クーゲルだった。

 間近に寄るまで気配なんてなかったのに、その男は気がついたらユイの後ろにいた。後ろにひかえている男達も確実にこのあたりの雰囲気を変えた。

 裏の世界に住むものでなくても、ここが危険な場所になったことは空気で分かるだろう。

「オスカー……」

 ユイは呆然とその男を見上げる。

 これは、もう運命としか言えないな……とユイは諦める。

 先生は、ユイに会う。

 ほっとけば死ぬだろう。

 支配人は言った「見なかったことにしとけ」と。それは、父を捜し求めるユイには禁句だった。見なかったことにされているから、父は見つからないのではないか。自身も見なかったことにされかけたことも何度もある。

 そして、ここにオスカー・クラウス・クーゲルが通りかかって、ユイに声を掛けた。

 ユイには、面倒くさくてたまらないが、先生は運命に勝ったのだ――。

 ただし、命だけ――。

 ユイは、ここから自分がどうすればいいか考える。

 運命は、決して甘くはない。そして、ユイはそれを知っていた――。

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2018
06,19

 夜は危険だ――と九歳までは思っていた。実は昼も危険だということを知ったのはその後、父親が突然失踪した時だった。

 父親はなんの形跡もないまま、消えた。朝ご飯を食べて、「いってきます。今日は遅くなるかも」と言って仕事にいったはずだった。ユイが五つのときに母親は流行りの風邪であっけなくいなくなってしまった。両親に親戚はいなかったから、ユイは本当に天涯孤独になったのだった。

「ユイ。ほら、弁当だ」

 朝仮眠した後、食堂の主人であるガルムがユイのお弁当を渡してくれる。

「ありがとう、いってくるね」

 学校へいくことを止めなかったのには、わけがある。

 ユイがどんなに探しても見つからなかった父親を探すために、役人になろうと思ったのだ。

 もし、父親が亡くなってしまっていて、その頑張りが無駄になったとしても、自分のようにいきなり天涯孤独になる子供を護る仕事がしたかった。

 食堂で働いて、ガルムのようにユイを助けてくれるような人になるのもいいが、それでは助けれる数に限りがある。だから、役人になりたいと思ったのだ。

 ユイは頭がいいといわれていたから、学校さえ卒業できれば、夢にたどり着けるような気がした。

 ユイが女の子らしかったとき、沢山の友達がいた。いつも友達が側にいて、寂しいと思うこともなかった。

 けれど、ユイが男の子のような格好であまり綺麗に着飾らなくなったら、友達は激減してしまった。そして、ユイが夜の食堂で働いていることがばれたら、すっかりだれもいなくなってしまったのだった。ただ一人、変わり者のシリウスを除いて――。

 一人は寂しい。お父さんが、生きているなら、寂しくなければいい……例えユイの側にいなくても。

 =====

「ユイ・サルドル、授業が終わったら教官室にきなさい」

 ユイは授業の合間はいつも寝ているのだが、呼び出しをくらってしまった。なんだろうと思う。まぁ呼び出される原因なんて、いくらでもある。そういう諦めは、もう既についていたが、足は重くなる。

 思ったとおり、夜の街で働くのはいかがなものか、もっと勉学に専念しなさいと、言われてしまった。

 親切という真綿で絞め殺されそうだとユイは思う。この真綿のいただけないところは、言ってる本人が本当にユイのことを思って言っているとおもっていることだろうか。

 働かなくては食べていけない――、裕福な家で育って学問を愛する先生には、そんな単純なことも理解できないのだ。

「メイヤー先生、すいません。お昼ごはん、食べれる時間がなくなるので、失礼します」

 ユイがそういうと、メイヤーは鼻白んだようだった。眼鏡を軽く上げて、嗤う。

「いつまでここにいられるのか楽しみですね」

「そうですね、先生も気をつけたほうがいい。夜道は大人の男だからといって、安全とは限りませんよ。特にグルハ橋の辺りは危険だといいますから……」

 メイヤーが目を瞠るのをおかしく思いながら、ユイは真面目な顔で教官室をでた。

 =====

 娼館が並ぶその通りはグルハ橋がある。この橋が下町と裕福な者たちの境界線だろうか。

 グルハ通りはその橋からのメインストリートで娼館が多く立ち並び、実は裕福な者たちが夜に遊びに来ることが多い。その娼館と娼館の間に門しかない隙間のような場所があって、そこは男が男を買いに来る場所だった。

 ユイは百合の館だけでなく、あちこちの娼館に出前を運ぶ。勿論娼館にも食事処がないわけではないのだが、味は二の次の店が多く、『真夜中のシチュー』に出前を頼む娼妓なども多かった。

 ユイが初めて男が娼婦のように客をとる店に行ったのは、『真夜中のシチュー』で働きはじめて、半年ほどたったときのことだった。

 もう既に疲れた少年のようだったので、男娼のいるこの店に入ったときには、えらく勧誘されてしまった。それでもユイが「女だ」というと、意外そうな目でみられたり、哀れみの目で見られたり、あんまりいいことはなかった。

 ただ、既に半年の苦労の末にそれくらいで傷つくような心は持ち合わせていなかったが。

「おまえは……もうちょっと身なりに気を使えよ。もう十四だろ。後二年もしたら、結婚できる歳なんだから」

 胸、絶壁だけどなと笑う。

「アンディも絶壁だろ」

 と言うと嫌な顔をされてしまった。

「お前、気持ち悪い事言うなよ……俺の胸が腫れたら、それやばいじゃん!」

 こんなアンディも実は人気なのだ。いつも綺麗な服を着て、綺麗な手でユイの持ってきた食事を食べている。

 ユイは特別なので、こんな夜のかきいれ時に人気の男娼の部屋に来ても怒られることはない。勿論客はいなかったが。

「お前、そのまま薄汚いまま、嫁にいくのかよ」

 薄汚いといわれて、反論することにする。

「ちゃんと風呂は入ってる。手も洗ってる。ガルムさんに怒られるもん」

 手を見せると、「そこに座れ」といわれてハンドクリームを塗られる。

「お前の手、女の手じゃねぇだろ」

 アンディのほうが、綺麗な手をしている。顔にしろ肌にしろ手にしろ、ユイのほうが負けてるのは確かだから、それ以上なにも言えない。

「――働きものの手だ……」

 何も言わずされるがままになっているユイの髪も梳いて、アンディは最後になぐさめるように、小さく呟いた。

「絶壁だけどな!」

「一言多いわ!!」

 脛に蹴りをいれると、アンディは笑いながら、ユイのこめかみをグリグリと抉った。

「いたっ! アンディ、明日の晩御飯にはピーマンとニンジンいれてやるからな!」

 アンディは、嫌なそうな顔で「すみません……それだけは……」といった。

 ユイは、アンディの食べた後の食器をバスケットにいれて、謝るアンディに手を振った。

「またな」

「気をつけて帰れよ」

 ユイが手を振るのをアンディは、笑って見送った。

2018
06,13

ノロノロ運転です。読んでくださってありがとうございます。

「坊主、リム姐さんは部屋にいるぞ」

 ユイが出前をもって百合の館と呼ばれる娼館に行くと、裏門の入り口でガードの男にそう言われた。

「坊主じゃね~っていってるだろ!」

 とユイが怒鳴っても男は、「もう少しでかくならんとな、あっちもな」ガハハと下非たジョークでユイを笑い飛ばすだけだ。

「なるか!」

 ユイはいつものように返して館に入っていく。

 館の中は百合といわれるだけあって、あちこちに百合の花がかざっている。いつもここに入ると一度くしゃみがでる。ユイは鼻が利きすぎるのだそうだ。

 三階の目的の部屋の前に立ち、コンコンとノックすると、軽やかな声が「どうぞ」と返事をした。

 部屋の中にいたのは美しい女だ。見た目は、きつい瞳に高い鼻、魅惑の唇と豪華な金色の巻き毛、世の男はその女の前に膝をつき、一夜の夢を懇願するという。

「リム姐さん。お待たせ。今日は、姐さんの好きなジャガイモのポタージュを作ってきたよ」

 毎日一品だけ作れるユイのスープを毎週火曜日だけ楽しみにしてくれているリムに食べてもらおうと、ユイが一生懸命つくったものだ。

 大輪の花がほころぶように、リムは笑う。

「ユイ、可愛い子。嬉しいわ」

 きっとユイが男なら、その胸に抱き潰されて喜ぶのだろうなと思う。

「ね、姐さん……くるし……」

 苦しむユイを鏡の前に座らせて、そのぼさぼさになってる髪を梳く。

「姐さん、無駄だよ」

 ユイは身だしなみとかが気にならない。食堂に勤めてるから清潔にするようにガルムに言われているから風呂には入るが、髪形とかはどうでも良かった。

「ユイ、もう、貴方はこんなに可愛いのに」

 チュッと頬にキスをされて、ユイは笑った。

「姐さん、シリウスと似てる」

 ユイがそういうと、目を少し眇めて、リムはユイを見つめる。

「こんなことをするの? シリウスってお友達っていってたわよね? ユイのこと好きなの?」

 母親のような顔でリムが聞く。まだ二十歳をいくらか過ぎたくらいなのに。

「シリウスは私のことを犬か猫と思ってるんだよ」

 ユイが真面目にそう答えると、リムは少し遠くを見つめて、「不憫な子ね……」と呟いた。意味がわからなくて首をかしげると、気にしなくていいといって、ユイが運んだ食事を食べ始める。

 リムとはユイが父親を探して街を彷徨っていたときに出会った。

 まだあの時はユイは女の子のようで、お客に連れられて食事に出ていたリムが助けてくれなければ、ユイは売り飛ばされていたのだと思う。性質の悪い男達に囲まれていたのをリムの常連のジンという男が追い払ってくれた。二人はまだ十歳にもなっていないユイを心配してくれて、ご飯を食べさせてくれた。

「お父さんの行方はやはり知れないの?」

 食堂で働くようになったユイがもう一度リムに出会ったのは、出前に来たときだ。その頃にはもう今のように男の子のようになっていたから、リムは最初気付かなかった。

「もう5年だからな、半分以上諦めてる……」

 ユイは空のような青い瞳でリムを見つめた。声にも諦めに似たものがあった。

「私ね、身請けされることになったのよ。ふふ、こんな所にいる娼婦が、明るい場所に戻れるなんて、思ってもみなかった……」

「ジン様?」

 常連の男を思い浮かべて、そう聞くと、リムは違うと頭を振った。

「違うわ。あの人じゃないの。商家の方でね、サイド様というの。いい方よ」

 ユイは驚いて、リムの顔を覗きこんだ。同じ青い瞳だけど、ユイより濃い色で、いつも強い眼差しで、未来を見つめてるようだった。悲しげな色はあったけれど、リムはけして悲観はしていないようだった。

 強い人だ――とユイは瞠目する。

「リム姐さん、いつ?」

「そうね、1月先にはもういないかしら。もう少しゆっくりしていきたいけど、そんなわけにもいかないし」

 リムは仕方ないのよと笑う。

「姐さんに会えないなんて……嫌だ……」

 勝手なのはわかっている。こんなところにいて、身体を売る商売がどんなものかユイももう知っている。でも、辛いとき助けてくれて、それからずっと自分を妹のように可愛がってくれたこの綺麗な人が、いなくなるなんてユイは信じたくなかった。

「ヤダ……ッ」

 リムのドレスに縋って泣いた。

「ユイ、可愛い。泣いちゃだめ。ほら、折角の可愛い顔がだいなしよ」

 可愛いも何も鼻水だってでてるのに、リムは優しくハンカチでユイの顔を拭ってくれた。

「次の火曜日は、姐さんの好きなかぼちゃのポタージュにする」

「嬉しいわ。ふふ楽しみだわ」

 そういっていたのに、次の火曜日には、ユイが百合の館にくると、もうリムはいなかった。リムは、前の日に身請けされたのだ――。

 =====

「会えなかったのか」

 学校でいつものように眠っているとシリウスが呼びに来る。

 今は春だから、眠くて仕方がない。勉強にも身が入らないのをシリウスに咎められて、ユイはリムの話をした。

 いつもは茶化してくるシリウスが珍しくユイを慰めようとしてるようだった。お昼のお弁当のデザートはいつもは土下座しないと恵んでくれないのに、今日は何もいってないのにユイのお弁当の横に置いてくれた。シリウスは貴族だから、いいものを食べている。

 なにが美味しいのかユイのお弁当をつままれることはあるが、ユイとしてはあまり食べて欲しくない。何故なら自分の分が減ってしまうからだ。

「ううん。会えたよ!今日は学校帰りに寄るんだ。リム姐はジン様に見受けられれたんだよ」

 リム姐はジン様のことが好きなのに、ジン様の足手まといになると思って、身請け話は言わないつもりだったらしい。

 ユイは、リム姐の話を聞いて直ぐに、ジン様の働いている騎士団に出前を届けにいったのだ。

「お前勇気あるよな」

「お坊ちゃまとは違うからな」

 というと、シリウスは拳骨をユイの頭にお見舞いした。自覚があるから怒るんだと思うとユイは顔をしかめる。

「ジン様は、必死にお金を工面したよ。上司が立て替えてくれたって言ってた」

 ジン様は、リム姐のことを好きだと言っていた。愛してると言ってた。それをユイは信じた。

 報われて良かったと思う。でも一生懸命つくったかぼちゃのポタージュの恨みは忘れない。

「今日は、リム姐がアップルパイを作ってくれてるんだ」

「俺も食べたい」

 私の分が減るから嫌だといったら、シリウスは真剣に怒っていた。

「じゃあ、リムさんは、幸せなんだな」

 シリウスは、呟く。ユイの大事な人が幸せでよかったなと、本当に喜んでくれてるようなので、ユイは嬉しくてシリウスに玉子焼きをあげる。

「甘いな……」
「玉子焼きは甘いものだろ」
「玉子焼きは甘くない」

 二人の玉子焼き論は平行線を辿るのだった。

2018
06,12

 ユイはクルクルとじゃがいもを回す。
 一回転、二回転、三回転、半! それでじゃがいもは皮をはがされて、黄色いそのつやつやの姿を現す。

「綺麗だ……」

 ユイのナイフ捌きは、この年にしてはなかなかのものだ。刀身二十五センチはあるこのナイフは父にもらったもので、野菜や肉といった食材に振るわれることになった。

「ユイ! ほら、うっとりしないで、さっさと出前にいってこい。じゃがいもは湯にかけていけよ」

 奥からごつい親父が(父親ではない)ユイの幸せな一時を邪魔するが、それは仕方ないことだ。この店は、王都の下町にある食堂『真夜中のシチュー』という。夜だけ開いていて、出前も多くこなす。ユイはそこで、掃除、下ごしらえ、出前を担当している。

 まだ十四歳のユイだが、食堂で働き始めて五年になる。


 ある日、唯一の肉親であった父親が仕事から帰ってこなかったのだ。それまで、普通に街にある学校に通い、普通に夜眠る生活をしていたが、それはあっさり失われてしまった。

 食堂を営んでいたガムルが、気付いて、助けてくれなければ、きっと死んでしまっていただろう。

 ユイはその日から、食堂で仕事をして、軽く眠り、学校に行き、また仕事をするという生活になった。

 誰にも文句は言えない。自分で選んだことだ。家はガムルに売ってもらい学費にしてもらっている。


「ユイ、またそんなところで眠っているのか」

 昼ごはんを食べた後、学校の庭にある木の上でユイは眠っていた。ご飯を食べたあとに眠るこの気持ちのよさはなにものにもかえられられないものだ。

「あー? もう時間?」

 木の下から声をかけたのは、同じクラスの委員長だ。

「仕事など止めてしまえばいい」

「だれが、養ってくれるっていうんだよ。私は学校に来るためにやるべきことをやってるだけだぞ」

 少し考えてから、委員長は真面目な顔で「私が養ってあげます」という。

「嫌だいやだ。お前みたいなうるさい人間に養われていいことなんてない」

 きっと髪を梳かせとかその辺で寝るなとかいうだろと言うと、真面目な顔で

「いえいえ、髪は梳いてあげますし、膝枕してあげますよ」

という。

「嫌なやつだよなお前は」

 委員長はいつも馬鹿にする。それでも心配してくれる人間というものがあまりいないユイには、嬉しいことだった。だから、余計自分を馬鹿にしたように殊更丁寧に喋る委員長シリウスに反抗してしまうのだ。

「昨日は、何を作ったんですか?」

 ユイは毎日一品だけ料理をつくることが許されている。

「トマトのスープだよ。ベーコンにたまねぎ、バジルで味付けした」

 パンと一緒に食べたら凄く美味しかった。
 昨日行った出前の話しをすると、シリウスは楽しそうに話を聞いてくれる。ユイはそんな時間がとても幸せで、やはり学校はいいところだと思うのだった。

2018
06,11
おはようございます。
ここ最近、友人達が紙にやることを書いて、やったら消していくということをやっていると何人かにききまして、今日は書いてみました。
どこまで書けばいいのだろう。
と思いつつ、
『掃除機をかける』
『洗い物』
『洗濯』
『買い物』
『10p校正』
『次の日の話を書き始める』
『リンク貼る』
と書きました。
ほぼ家事ですが(笑)。
もうね、やること書かないと忘れる、もしくは流してしまうお年頃です。

今、リンク貼るためにやり方を調べて、リンク先を調べようとして、登録したときのIDを書き忘れている(普通返信のメールに書いてない?)ことに気付いて、教えてくださいとメールを書いたところです。
10P校正は、難しいやけど、元気な時だけでもやろうと思います。とりあえず、今月中に書き上げたいです。次は、洗い物と洗濯を同時にやろうかなと思います。
では、see you!

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プロフィール
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